ブログ|杏林堂鍼灸整骨院

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怒ったら、あかん(肝)。

・「怒は肝を傷る」
怒り過ぎると「気」は上がり、

「肝」を傷つけます。

 
ご存知の通り、

肝臓は血液を貯蔵する働きが有るのですが、

漢方的にはそれだけでは無く、

自律神経のバランスを整える働きも

担っている臓腑とされています。

 
「肝は疏泄(そせつ)を司る」と言い、

胃腸を始めとした五臓全体の維持や

感情調整、血液保存などの大切な役割があります。

 
しかし、七情の中の一つである「怒」が、

「肝」を傷ると

肝の持つ「気」の疏泄機能に変動が生じ、

「気」が「血」を伴って

頭に上昇したまま下がらなくなります。

 
怒りの表現でよく「腹が立つ」と言いますが、

この「立つ」は立ち上がる≒上昇する…

を意味します。

 
そして上昇した「気」は、「頭にくる」のです。
「気」が「血」を伴うと、

「頭に血がのぼる」状態となり、

脳卒中などを誘発することもあります。

 
さらに進行すると「心」に影響を与え、

不眠や動悸などの症状があらわれたりします。
(「怒り心頭に発す」と言います。)
※怒り新党では、ありません。

 

 

「怒」が過ぎると…

 
・「気」は上がる。
(「怒髪天を衝く」ように、突き上げてくる感じや、

「頭から湯気が出る」ような、ゆらゆらとしたものを観じる。)

 
・「肝」を傷る。
肝のもつ「気」の疏泄機能に影響し、

気が血を伴って頭に上昇したままになる。

 
<症状>
・頭痛
・めまい
・目の充血
・脳卒中
・動悸
・不眠など
となります。

 

 

次回は、「思」について…です。

喜び過ぎて「心」痛める。

七つの感情(七情)は、臓腑を傷つけますが、

なかでも心、肝、脾の臓器に

影響を与えやすいと言われています。

 
とりわけ、「心」は五臓六腑の中心であり、

精神の変化はまず心の機能に影響を及ぼし、

各臓腑に波及していくとされています。

 

 

七情のうちから、先ずは「喜」について…です。

 
「素問」陰陽応象大論篇には、「喜は心を傷る」とあります。

 

 

喜び過ぎると「気がゆるみ、心を傷つける。」というわけです。

 
七情のなかでも他の感情、例えば「怒」や「悲」などは、

内臓の働きに影響を及ぼすと言われても

何となく納得出来るのですが、

「喜」=喜びの何が良くないというのでしょうか?

 
内因でいう「喜」とは、過度の喜び…のことです。

 
宝くじで3億円が当たって、狂喜乱舞のあまり心臓発作で倒れたとか、

喜び過ぎて精神が興奮して夜眠れなくなった…などの「喜び」です。

 
「心」には、五神(神気)のうちの最上位にあたる「神」が宿り、

心拍動や呼吸、知覚や精神活動、

手足や顔の表情などを正しく行わせるといった

生命活動維持を支配する働きがあるとされています。

 
※五神については、また別の機会に説明します。

 

 

つまり、東洋医学的な「心」とは、

心臓そのもの働きだけで無く、

自律神経機能や間脳、視床下部を含めた

「視床」の働きも合わせて指したもの…と考えられます。

 

 

そのことを念頭において

 

 

「喜」が過ぎると…

 
・「気」はゆるむ。
(口元が緩む。笑顔が弾ける。喜びが溢れる…のように

エネルギー的には、拡張傾向でふわふわとした感覚。)

 
・「心」を傷つける。
心の持つ「神」の働きが衰え、

不眠や不安など、精神活動に影響を与える。

 
<症状>
・集中力の低下
・不眠症
・不安神経症
・精神錯乱など
となります。

 

 

次回は、「怒」について…です。

内因(七つの感情)

東洋医学で病気の原因のひとつに、

「内因」があります。

 
内因は身体の内側から起こり、

臓腑を痛める原因要素を言います。

 
人間には「喜」、「怒」、「思」、「悲」、「憂」、「恐」、「驚」の

七つの感情(七情)があるとされています。

 

 

この感情の過度な変化が病気を引き起こす原因=「内因」です。

 
喜んだり、驚いたり、怒ったりという感情は、

誰にでもある当たり前の正常な反応なのですが、

それが行き過ぎると時に自らの身体に悪影響を及ぼします。

 
また、長期間にわたり悲しみが続くといった変化も、

五臓六腑や気・血・津液に影響を与え、

バランスを崩す要因となり得ます。

 
内因による病は、身体の内部から発生し、緩慢に進行し、

「陰性」の症状をあらわすことが多くあります。

 
さらに虚に乗じて外邪が侵入すると、

発熱・疼痛・喘咳などの「陽性」の症状をあらわすこともあります。

 
また、それぞれの感情(七情)は、

それぞれの気と臓腑に関わっています。

 
過度の情志(情緒)の変化は、

それぞれ関連する臓腑気血に影響を及ぼします。

 
逆に臓腑気血の機能失調が、

それぞれの情志に影響を与えます。

 
つまり、感情の持ちようで臓腑を傷つけることがあると同時に、

臓腑の状態によってその人の気分(情緒)が左右され得る…

というわけです。

 

あの人の機嫌も内臓しだい⁈かもしれません。

 
七情(喜・怒・思・悲・憂・恐・驚)と、

それぞれの臓腑気血の関連性については、

次回から順を追って書いていきます。

風邪は万病のもと

昔から、「風邪は万病のもと」とよく言われますが、

それは病気は風によって運ばれ、

「風邪」が年間を通してあらわれる外邪である…

と同時にほかの病邪(六淫)を伴って

あらわれることが多いからです。

 
例えば、「風邪」で起こりやすい鼻水、鼻づまりの症状と、

「寒邪」による吐き気の症状が同時に見られることがよくありますが、

それは邪気が重なって起きているからです。

 
この場合、2つを合わせて「風寒」のかぜと言います。

 

夏は高温多湿の気候のため、湿熱が発生しやすく

梅雨時は「風邪」、「寒邪」、「湿邪」の

3つの病邪が重なる場合もあります。

 

 
・寒邪…冬場や気温が低い時期に多い病邪。

皮膚や呼吸器官などから侵入し「陽気」を衰えさせるため、

寒気や手足の冷えといった症状が起きる。
脾や胃に寒邪が入ると、下痢や吐き気などの症状が見られる。

 
<症状>
・寒気
・吐き気
・下痢
・腹痛
・手足の冷え
・頭痛
・関節の痛みなど。

 
その他の「暑邪」、「湿邪」、「燥邪」、「火邪」については

その時々にご紹介していきたいと思います。

 
次回は、「内因」について…です。

風邪(ふうじゃ)

六邪(六淫)のうち、

風邪(ふうじゃ)は一年中あらわれやすい外邪ですが、

特に春先に多い…とされています。

 
軽く高く舞う「風」の性質が人間の身体にも投影され、

顔面などの人体の上部に症状が現れます。

 
また「風」の性質として、急に吹き始めて

強くなったり弱まったり、また止んだり。
或いは、突然風向きが変わったり…と一定しません。

 
それと同様に、証(しょう)としては急速に発症し、

悪化したり落ち着いたりし、また患部も一定せず移動します。

 
身体のふらつきや眩暈(めまい)も風邪の特徴です。

 
主な症状としては、

 
・頭痛
・鼻づまり
・のどの痛み
・まぶたのむくみ
・めまい

 
などが挙げられます。

 

昨日まで何とも無かったのに、朝起きたら頭痛がして、

急に寒気がしたと思ったら熱が出て、

ちょっと良くなったかと思ったら、今度はのどが痛くなって…。

 
もう大丈夫と安心しても、次の日の朝、めまいで起きれない。
なんて感じです。

 
昔から、「風邪は万病のもと」と言われたりしますが、

風邪以外にも「通風」、「中風」、「風疹」、「破傷風」など

病気には「風」が付く名前が結構あります。

 
古来中国では、病気は「風」が運んで来る…と考えられ、

病気のことを「風病」とも称していました。

 
「風水術」なども、「風と人間」との

より良い関係性を探求した術だと言えます。

外因(自然界の気候変化)

立春が過ぎて一週間。
今週に入って、月曜、火曜と小雪まじりの冷たい一日だったのが、

昨日、今日と暖かくなったかと思っていたら、

今晩から雨模様で

週末はまた寒波が押し寄せてくるという予報が…。

 
めまぐるしく変化する気候に、

なかなか身体の方がついて来れない状態です。

 
東洋医学では、病気の原因のひとつに

この「気候の変化=外因」をあげています。

 
自然界の6種類の気候変化である六気が異常をきたすと

六邪(六淫)となり、病気の原因となるとされ、

「外感病邪」とも言われます。

 
六気は、「風」・「寒」・「暑」・「湿」・「燥」・「火」として現れます。

 
「風」は、気温の変化によって起こる空気対流から派生する風。

 
「寒」は、寒さ。

 
「暑」は、暑さ。

 
「湿」は、湿気。

 
「燥」は、乾燥。

 
「火」は、熱の強い状態で季節性はありません。

 
六気の季節変化は人間にとってもまた、

万物を育む上でも欠かせないものですが、

その六気に過不足が生じたり、

時期に反して出現した場合、

身体に悪影響を与える六邪(六淫)へと転化します。

 
六邪は口、鼻、皮膚から体内に侵入します。

 
この時、正気が強く、

外邪を排除(邪気払い)することが出来れば、

病気には為らないのですが、

外邪の方が正気に勝ると発病してしまいます。

 
次回は、この時期に多い「寒邪」と「風邪」について…です。

病気の原因を知る

前回、節分の邪気払いのお話をしましたが、

東洋医学(漢方)で言うところの「邪気」とは、

どのようなものを指すのでしょうか?

 
東洋医学では、

その人が健康であるかどうかを診るのに、

 
①陰陽

 
②五臓六腑と経絡

 
③気・血・津液(しんえき)

 
という三つの要素を指標としています。

 
つまり健康体とは、
「陰陽のバランスが保たれ、

身体を構成する気・血・津液の量が充分で、かつ淀みなく循環し、

五臓六腑が協調的に働いている状態。」を指します。

 
そして、これらの三つの要素のバランスが崩れて、

身体の抵抗力である正気(せいき)が弱まった状態を

「病気」になる…と言います。

 
また、病気が発生する原因=病因を「邪気」と見なします。

 
東洋医学では、陰陽のバランスが崩れて病気につながる、

その原因として大きく三つに分けて考えられています。

 
⑴外因

 
⑵内因

 
⑶不内外因

 
逆に言えば、これらの病因を特定し排除すること(邪気払い)が、

治療の基礎、基本となります。

 

三つの要因の内、

先ず外因とは、身体の外側から押し寄せる病邪のことで、

外邪とも呼ばれます。

 
次に内因は、身体の内側から起こり、

臓腑を痛める要素を言います。

 
そして不内外因は、外因にも内因にも分類されないもので、

主に生活習慣のことを指します。

 
以上、三つの病因について次回から

ちょっとだけ詳しく書いていきたいと思います。
※難しく書いても面白くありませんから…。

邪気払い

節分の話題をもう一つ。
節分とは、本来「季節を分ける」という意味があり、

それぞれの季節が移り変わる節目の日を指します。

 
つまり、「立春・立夏・立秋・立冬」のそれぞれの前日に、

一年に4回あります。

 
しかし、日本では立春は一年の始まりとしてとくに尊重され、
しだいに節分と言えば、立春の前日のみを指すようになりました。

 
立春を一年の始まりとするならば、

さしずめ節分は大晦日(おおみそか)にあたります。

 
大晦日の宮中の年中行事で平安時代から行われている

鬼払いの儀式(鬼やらいとも呼ばれる)がありました。

 
「追儺(ついな)」と呼ばれるもので、

陰陽師らによって旧年の厄や災難を払い清めるもの…

とされていました。

 
節分の日の「鬼は外、福はうち。」の豆まきも、

この「追儺」が由来であると言われています。

 
節分、つまり季節の変わり目には

邪気(鬼)が生じると考えられていました。

 
そこで、鬼に豆をぶつけることによって邪気を追い払い、

一年の「無病息災」を願ったわけです。

 
豆は、「魔滅(まめ)」…魔を滅する。

に通じるというわけです。

 
邪気払い≒健康を害するものを取り除くこと。
と考えてみても間違いでは無いと思います。

 
節分が各季節ごと「春、夏、秋、冬」にあって、

それぞれの季節の変わり目に邪気が生じるとしたら、

どのような「邪気」で、どのように対処すれば良いのでしょか?

 
東洋医学(漢方)でいうところの「五行相関」で考えてみましょう。

立春(春立ちぬ)

今日、2月4日は24節気の一つ「立春」です。

 
暦の上では「春」なのに、まだまだ寒いよね…。
何てよく言われますが、それもその筈。

 
立春とは本来、「寒さが増すことが無くなる日」とされ、

これ以上寒くなることは無い、

つまり寒さが底を打った…ということを報せる日だからです。

 
逆に言えば、今が寒さのピーク。
本格的に暖かくなるには、まだまだ時間が必要です。

 
そんな訳で、これからしばらくは寒さ対策や

「冷え」などについて書いていきたいと思います。

 
でもその前に、昨日の続きを…。

 
節分の日に、恵方巻きを食べるという風習について…ですが、
いろいろ調べてみると、その起源は諸説有って、

またそのどれもが真偽の程は、定かでは無いようです。

 
ただ、大正時代から戦前、戦後を通して、

前述の大阪の商人たちの「幸運巻きずし」を根拠に、

繰り返し同様のキャンペーンは行われていたそうです。

 
土用の丑の日の「鰻」に対抗して、

節分の日に「巻きずし」をみたいな感じで…。

 
そのいずれもが、やはり大阪の鮓商組合さんと海苔組合さんが

中心となっての催しだったそうです。

 
戦後には、あのタコ焼きの「たこ昌」の社長さんが

海苔組合の組合長を兼務されていた時に、

大々的に宣伝されたことがあったようです。

 
しかし残念ながら、いずれの場合も

一般に浸透して、定着するまでには到らずに、

戦後一旦廃れてしまい、

70年代に何度目かのチャレンジ(リベンジ)で

ようやく「日の目を見る」ことが出来た…というわけです。

 
本当、恐るべし「浪花の商人(あきんど)」の執念…

といったところでしょうか?

 
戦前まで一般に定着しなかった

「巻きずしの丸かぶり」ですが、

ある意外な場所で人気を博していたそうです。

 
それは、「花街」です。

 
船場の旦那衆のお座敷での「お遊び」としてです。

 
一気飲み為らぬ、一気食い。

 
恵方を向いて、一言も発せずに太巻を丸かぶりしてみせる、

ちょっと粋がった若旦那を囃し立てる芸者衆。

 
そんな感じだったのかもしれません。

 
もし、そんなところが本来の起源?ならば、

「縁起物」や、「邪気払い」なんて難しく考えずに、

「節分の日の楽しいイベント」…ぐらいに

軽〜く考えて良いんじゃないでしょうか?
(のり巻きだけに、軽い「ノリ」で…。)

 
次の日に「立春」を迎えるにあたって、

太巻を一本、丸かぶりすることが出来る…ことを喜ぶ。

 
そして感謝する。

 
そんな行事として、全国に広まってくれたら良いのになぁと

関西人としては密かに願うのであります。
(その方が、高級食材が売れやすい?ってか。)

節分に「恵方巻き」?

今日、2月3日は「節分」の日です。
「立春」の前の日、「大寒」の最後の日。
冬から春へと「季節」を分ける…という意味合いもあります。

 
節分の日には、昔から様々な行事が行われてきました。
「福は内、鬼は外。」と言って行う「豆まき」。
あと、歳の数だけ「豆」を食べたり、イワシを食べたり。
地方によっては、柊(ひいらぎ)に

イワシの頭(目)を刺したのを玄関先に吊したり…。

 
そんな中、近年全国的に知られるようになったのが、

「恵方巻き」です。

 
その年の「恵方」を向いて、黙って巻き寿司(太巻)を

一本まるごと食べる…というもので、
もともと関西地方の風習だったものが、

大手コンビニのセブンイレブンによって

全国に広まった…。と言われています。

 
(「恵方巻き」という呼び方もセブンイレブンが始めたもので、
もともとは普通に、「巻きずしの丸かぶり」と呼ばれていました。)

 
が、TV等でそんな話しを耳にする度に、

「事情通」?の関西人にとっては

「何だかな〜。」という思いが湧いて来ます。

 

 

 

「巻きずしの丸かぶり」
それは、ある日突然、何の前触れも無くやって来ました。

 

 

70年代前半、当時中学生(小6だったか?)だった私は、

実家の近くにある市場のお寿司屋さんに貼ってある

一枚のポスターに目が止まりました。

 
そこには、「幸運巻きずし」という文字が、

デカデカと書いてありました。

 
何でも、江戸時代の末期には大阪の商人たちが、

商売繁盛と厄払いの為に、

七福神に見立てた七種類の具材を巻いた太巻を

節分の日に食べた(ことがある。)らしい…。ということで、

そのポスターの下の方に

「大阪のり問屋協同組合」と記されているのを、

子供心に何となく胡散臭く感じたのを覚えています。

 
その後、オイルショックの影響か、

くだんの「のり組合」さんが一気に攻勢をかけて?

様々なイベントやキャンペーンを行った結果、

マスコミにも取り上げられるようになっていきました。

 
でも、普通に我が家の食卓に上がるようになったのは、

80年代になってからだと思います。

 
その当時は、「生もの」を食べると身体が冷えるということで、

どうしても冬場(2月)に売り上げが落ちてしまう

「お鮨」の売り上げを何とかしたいという思いで、

鮓商組合が海苔組合と結託して、

そのころ同様な思いでチョコレート業界が仕掛け、

そして成功させたバレンタインデー(2月14日)に、

チョコレートを贈る…というキャンペーンをヒントに、
考えだされたものなんだよ…と

まことしやかに噂されていた記憶があります。

 
※書きだすと思いの外、長くなりそうなので、

続きは明日に。