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杏林堂の入口をあけて直ぐ、
受付の上に写真の額が飾ってあります。
「杏林満園」
額にも署名があるのですが、上海中医薬科大学教授(当時)の
王 龍宝(ワン ロンパオ)先生が
16年前、治療所を開業する際に
書き下ろしてくださったものです。
この文字の意味するところは、
昔、中国に華佗と言う多くの患者さんから尊敬される
名医が居ました。
この華佗さんは、患者さんを治療した際に
治療費としてお金を頂かずに、
身体に良いとされる杏(あんず)の実を患者さんに食べさせて、
その種を自分の治療所の庭に植えさせる事で
治療費の代わりとさせていました。
くる日も、くる日も患者さんを
治療しては、庭に杏(あんず)の種を植えさせて…。
を繰り返して行くうちに、
ある年の春に華佗さんの庭の杏(あんず)の林は、
満開の花でおおわれていました。
と言う話で、中国では治療院を開業する際には、
「貴方も、この故事に倣って沢山の患者さんを喜ばして下さい。」
と言う意味を込めてこの文字を贈るのが
慣わしだそうです。
私が、王先生から頂いた時は、
治療するのはお金の為では無い。
と言う「医は仁術」的な意味合いとして受け取ったのですが、
後から聞くとどうやらそうでは無くて、
満開になるくらい一杯患者さんが来る様に、と言う
どちらかというと「先客万来」的な意味合いが中国では一般的なんだそうです。
ちょっと、赤ひげ先生的なイメージとは違うのかな?
まあ、それはさておき。
杏林堂にお越しの際には、
良かったら受付にある額をじっくりと眺めてみて下さい。
どう感じられるかは、貴方次第です。