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JR芦屋駅から徒歩2分
杏林堂鍼灸整骨院の院長ブログです。
家族と共に来日されていた王先生は、
日本の大学に入学された娘さんの卒業を待って帰国され、
上海の大学に復職し、また以前の様にご活躍されているそうです。
王先生から伺った話では
中国の場合、
西洋医学のお医者さんを西医、
伝統的な療法を行うお医者さんを中医と言い、
それぞれに認められた存在で、
患者さんはどちらかの治療法を選ぶ事が出来るそうです。
もちろん、併用する事も可能です。
症状によって、この場合は西医にこちらは、中医に。
また、西医に見て貰いながら漢方薬も処方して貰う。
と言う具合です。
非常に合理的ですね。
ただ、お国柄と言うべきか、
何事も大陸的というのか
全てにおおらかで
治療の際には、
先生の前であっても、結構大胆に服を脱いで、
診察台の上に
横たわる方も多いのだそうです。
先生を信頼して、全てをゆだねる…。
という事だと思いますが。
また漢方薬などは、入院中の患者さんに出される場合、
毎朝
一日分として、大きなヤカンでどーんと
持ってこられるそうです。
鍼についてはご存じの通り、いわゆる中国鍼と言うもので、
長いし、太さも結構あります。
体格や、感受性の違いも影響しているのかもしれません。
鍼先の研磨も割とランダムで、
日本人の我々には、ちょっと厳しいかな?
と感じる時も正直あります。
その点、
日本や韓国では?
それは、また次回に。
二つ目の違いは、
お薬に対する考え方、
いわゆる
製薬に対する考え方そのものの違いです。
もっと言えば、医療制度そのものの違い
と言えるかもしれません。
一般的に、患者さんに投薬出来るお薬として認められる為には、
長い間の研究と実証が何よりも肝要です。
何が身体に作用し、有益なものなのかのデータが必要と成る訳です。
つまり、元となる生薬の中にある有効成分のみを抽出したのちに
精製されたものがお薬として認められるのです。
一方、漢方薬、特に煎じ薬の場合はそうでは有りません。
そもそも
有効成分を抽出して、という考え方そのものが有りません。
そのもの全体が有益であり、
また何が欠けていても駄目で、
何が実際に作用させているのか分からないし、
自然の中には、我々の知らない
いわゆる「雑味」
と言われるものの中にこそ求めるものが隠されているかもしれません。
だから、生薬全体を一つのものとして全て頂く。
という考え方です。
これを一物全体主義(いちもつぜんたいしゅぎ)と言います。
かなり、違いますよね。
料理の場合でも、
えぐ味のもとである灰汁(あく)を丹念に取り除きますが、
もしかしたらその雑味の中にこそ、
身体に良い物が含まれているのかもしれません。
まあ、食事というのは漢方薬と違って
美味しいに越した事は無いのですが…。
昨日の続きです。
王先生が、経験された
西洋医学と東洋医学の大きな二つの違いとは?
その一つは、症病と投薬の関係です。
どういう事かと具体的に説明すると、
西洋医学では、
患者さんの症状や特に病名によってある程度、
処方されるお薬が決まってきます。
胃腸には、これ。
肝臓病には、このお薬。
と言った具合です。
でも、漢方薬の場合はそうでは
有りません。
症病名では無く、
患者さんの状態、体質によってお薬を決めていくのです。
病気と言うものが存在しているのでは無く、
あるのは一人一人の不調和と言う状態だけ…。
と言う考え方です。
ですから、一人一人の
脈や、舌の状態や、お腹の硬さ等々を総合的に判断して
(症を立てると言います。)、
投薬を決定します。
つまり、同じ病名でも患者さんによってお薬の内容に違いがあるという事です。
この考え方は
当時の西洋医学の研究者や、ドクター達には、
到底受け入れられませんでした。
科学的では無い、という理由で。
今では、もうそんな事は無くて
漢方薬を処方されるお医者さんも沢山いらっしゃいます。
そんな現在でも、中々理解され難い考え方、と言うか
一つの思想があります。
その、あとの一つとは、
また次回に…。
王龍宝先生は、現代中国の百人の名医に選ばれた事もある中医で
約20年ほど前に、日本のある大学に招かれて来日されました。
漢方薬による胃癌治療の研究、及び指導が主な目的でした。
当時は、中国から米国や日本に渡航する事がステータスでもあった時代で
王先生も中国での実績を捨てて、
日本での更なる活躍の場を求めて来日されたのですが、
その期待とは裏腹に
王先生の意見や、東洋医学的な思想は
日本の研究者や、ドクター達には受け入れて貰えませんでした。
やむなく、志し半ばで自ら退任せざるを得なくなりました。
その後、私の師匠とご縁があり、神戸の地に転居されました。
そのおかげで、私の開業の際に
額を頂いた訳ではあるのですが…。
王先生が経験された
西洋医学的な考え方と、東洋医学的な思想には、
大きく分けて二つの決定的な違いがありました。
それは…。
長くなりますので、また明日に。
猫に鍼って?
我が家には、猫が四匹います。
それも皆んな保護猫(元ノラ)ばかり!
最初は人になつかなかったのですが、今では家族同様のにゃん達の健康の為に、
毎日鍼治療をしています。
と言う話では、有りません。
前回の続きで、鍼の究極の上達法が即ち、
「猫に鍼」なのです。
その方法とは、日向ぼっこか何かで、微睡んでいる猫にそーっと近づき、
気付かれ無い様に、
おもむろにかつ、速やかに猫の
背中に鍼を刺し、また起こさない様に静かに抜いて
何事も無かった様にその場を立ち去る。
これが出来れば、貴方も今日から鍼名人‼
と言う訳ですが、私は一度も試した事がありません。
なんと言っても猫は、警戒心が非常に強い動物ですから、鍼を刺すどころか
近づいただけで逃げられるか、最悪引っ掻かれるかもしれません。
でも、今なら安心して膝の上で寝てくれたりするので、
そーっと鍼を打つぐらいなら出来るかもしれません。
しかし、止めておきます
嫌われるのもいやだし、何より何処も具合が悪くありませんから。
猫の話は別にしても、JRA栗東センターでは、競争馬に鍼治療をしていますし、
牛の出産前に安産の為にお灸をする獣医さんも実際にいます。
各言う私も、ワンちゃんに鍼治療をさせて頂いた経験があります。
そのお話は、機会がありましたらいずれ又。
記念すべき初めての投稿(実質の)は、
我々、鍼灸師の練習方法について です。
鍼灸師に成るために学校に入った当初は、当り前の事ですが
いきなり人に鍼を打つことは出来ません。
先ずは、鍼まくらと言ってウレタンや、
綿花でできた手のひら大のまくらに打つ練習をするのですが、
これも最初は中々、上手く行きません。
何せ、太さ約0.02ミリの髪の毛ほどの物を扱う訳ですから、
先ず入りませんし、入っても差し込めません。
すぐにくにゃっと曲がってしまいます。
それを何とか練習して、打てる様に成ると今度は、
固物通し(かたものどおし)です。
文字通り、かまぼこ板の様な硬い木の板に通す練習です。
これは、比較的出来易いのですが、その上の難物なのが浮き物通しです。
水に浮かべた物に鍼をさす。と言う物です。
私の場合は、水を張った洗面器にリンゴを浮かべて練習しました。
リンゴを手で抑えてれば、簡単なのですが何せ、プカプカと動くので、
上手く力が伝わりません。
それでも、毎日一ヶ月、二ヶ月と練習を繰り返すと
不規則なリンゴの動きに合わせてスっと差し込む事が出来る様に成ります。
鍼を打つことに必死で、気付かなかったのですが、
よく考えて見るとずっと同じリンゴを使って練習していたのでした。
二ヶ月も経っているのに、全く腐ってもいませんし、しぼんでもいません。
鍼って凄いなぁ。
生命力を与える事が出来るんやなぁ。
と、感じました。
その事を私の師匠に話しをすると、師匠は
「確かに鍼を打つことによって、生命力を引き出すと言う側面もあるかもしれない。
でも、腐らなかった一番の理由は、君の真剣な気持ちだと思う。
技術では無く、最終的に伝わるのは心しか無いんだから。」と、言われのです。
その時は、あまり良く解らずに、「そうだよ。鍼って凄いんだよ。」
ぐらい言ってくれても良いのに。
そんな風に感じていました。
でも、今ならその意味は良く解ります。
そんな奇跡のリンゴの話でしたが、
なんと鍼の練習法には更にその上の究極の?物が有ります。
さて、その練習法とは?
次回のブログで。