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カテゴリー別アーカイブ: 東洋医学のこと

邪気払い

節分の話題をもう一つ。
節分とは、本来「季節を分ける」という意味があり、

それぞれの季節が移り変わる節目の日を指します。

 
つまり、「立春・立夏・立秋・立冬」のそれぞれの前日に、

一年に4回あります。

 
しかし、日本では立春は一年の始まりとしてとくに尊重され、
しだいに節分と言えば、立春の前日のみを指すようになりました。

 
立春を一年の始まりとするならば、

さしずめ節分は大晦日(おおみそか)にあたります。

 
大晦日の宮中の年中行事で平安時代から行われている

鬼払いの儀式(鬼やらいとも呼ばれる)がありました。

 
「追儺(ついな)」と呼ばれるもので、

陰陽師らによって旧年の厄や災難を払い清めるもの…

とされていました。

 
節分の日の「鬼は外、福はうち。」の豆まきも、

この「追儺」が由来であると言われています。

 
節分、つまり季節の変わり目には

邪気(鬼)が生じると考えられていました。

 
そこで、鬼に豆をぶつけることによって邪気を追い払い、

一年の「無病息災」を願ったわけです。

 
豆は、「魔滅(まめ)」…魔を滅する。

に通じるというわけです。

 
邪気払い≒健康を害するものを取り除くこと。
と考えてみても間違いでは無いと思います。

 
節分が各季節ごと「春、夏、秋、冬」にあって、

それぞれの季節の変わり目に邪気が生じるとしたら、

どのような「邪気」で、どのように対処すれば良いのでしょか?

 
東洋医学(漢方)でいうところの「五行相関」で考えてみましょう。

風邪を引いたら

今日も雪が降ったり止んだりで、風の冷たい寒い一日でした。

 

 

このところ、風邪引きの方がとにかく多いです。
インフルエンザに罹患された患者さんの話もちらほらと耳にします。

 
どんな病気でもそうですが、特に風邪の場合、

その原因は「食べ過ぎ」と「冷え」と「ストレス」だ

と言っても過言ではないと思います。

 
・頭を使い過ぎて、頭が疲れても風邪を引きます。

 
・消化器に余分な負担をかけた後にも風邪を引きます。

 
・腎臓に余分な負担をかけた後にも風邪を引きます。

 
・とにかく身体の何処かに偏った動きや、

働かせ過ぎた処ができると風邪を引きます。

 
※「風邪の効用」野口晴哉著

 

 

つまり、風邪を引いたら身体の何処かに

無理をしていると思って間違いありません。
その偏った身体を治そうとして風邪を引いた…

とも考えられます。

 
風邪を引く(病気に罹る)と、発熱して食欲が無くなります。
また発熱以外にも、発汗、鼻水、咳、くしゃみ、下痢、嘔吐など

身体の中のありとあらゆる老廃物を出して、出して、出しまくります。

 
これは、食べ過ぎや飲み過ぎなどで身体に蓄積された

「余分な老廃物」を排出させて身体を正そうとする働きです。

 
そして、発熱によって老廃物を燃やし「冷え」を取り、

食欲を低下させることによって、胃腸を休ませて、

消化活動に使われるエネルギーを

病気(風邪)治癒の方向へと向かわせているのです。

 
ですから、風邪を引いてしまったら、

無理にその症状を抑えようとせずに

(そうは言っても、辛い時もあるのですが…。まあ、無理をせずに…。)

 
・出来るだけ身体を休ませてあげる。

 
・ゆったりとした気分でストレスをかけないよう心掛ける。

 
・生姜などで身体を温める。

 
と良いと思います。

 

 

生活の乱れやストレスが引き金となって、

身体に負担がかかり身体に異常が出てきた為に、

その異常を正そうとして、風邪を引いてしまう訳ですから、

そんな風邪を引くような生活そのものを改めて、

規則正しい生活をするように心掛けることが、

すなわち「風邪の予防」になると言えます。

気感を高める

患者さんを診断する際に、

東洋医学では独特の方法を用います。
それが、「四診」と呼ばれるものです。

 
先ず、患者さんの動作や状態を「見て」観察する「望診」。

 
次に、会話の際の声の調子やトーン、呼吸(息の仕方)を「聞いて」、

また体臭、口臭、排出物などのにおいを「嗅いで」診断する「聞診」。

 
そして、患者さんに直接病状などを問う「問診」。

※その際、同時に望診、問診も行います。

 
最後に、実際に患者さんに「触れて」

脈を診たり、腹部などを触診する「切診」。

 
そして上記の「四診」で得た情報に

陰陽論、五行論などなど…の理論を組み合わせて

判断したものを「証」と呼びます。

 
つまり、施術者は「5感」を駆使して、

それを組み合わせて「証」を立てるのです。

 
その為に、施術者はその感覚(気感)を高める必要があります。
この気感(エネルギー感覚)を高める為に

「共感覚」を利用してみたら?というのが前回お話した内容です。

 

 

共感覚は、1つの感覚刺激が

別の感覚を引き起こすと説明されている現象です。
共感覚者は、それが普通に無意識の状態で現れるのですが、

私たちは、その状態を「意識的に」

作り出してみたらどうでしょう?という訳です。

 
つまり、何かを感じ取る際に意識的に

2つ以上の感覚刺激を組み合わせる。という方法です。

 

 

先ず、そのベースと生る感覚が、「触覚」です。

 

 

ぱっと見ただけで、全てがわかる「望診」を「神技」。
音を聞いたり、においを嗅いで
わかる「聞診」を「聖技」。
話を聞いて、いろいろとたずねてわかる「問診」を「工技」。
直接触れて何とかわかる「切診」を「巧技」と呼びます。

 

 

誰しも患者さんに触れもせず、話を聞かずに、

ぱっと見た(心の目で)だけで、

何もかも見通せるレベルにいきなり成れる筈がありません。

 
そこで、誰にでも1番わかりやすい

「触覚」をベースにして始めてみましょう。
という訳で、先ず触覚と何の感覚を組み合わせるのか?

 
具体的には、次回。

「流れ」を作る。

W杯、初戦のコートジボワール戦1対2の逆転負け。

本当に残念です。

 

 

試合後、選手達も「自分達のサッカー、仕事が出来なかった。」

「流れを作れ無かった。」と悔しさを滲ませながら口ぐちに答えていました。

次の試合、何とか結果を残して欲しいものです。

 
ところで、私たち施術家の仕事は、

患者さん自身に本来備わっている「自然治癒力」を引き出す事です。
東洋医学では、「病気」というものが存在しているのでは無く、

在るのは一人一人の「不調和という状態」だけ…。と考えます。

 
その不調和を「調和」した状態に戻す為には、

大きく二つの方法があります。
⑴余分なものを取り除く。
⑵足りないものを補う。
です。

 
エネルギーが有り余った状態を「実」。
エネルギーが不足した状態を「虚」。
それを取り除いたり、足したりする事をそれぞれ

「瀉(しゃ)」
「補(ほ)」と呼びます。

 
それぞれの状態を見極めながら、「補瀉」を施して

各人のニュートラルな状態、自然治癒力が発動為れやすい状態へと

エネルギーの「流れ」を作る。
これが、基本的な施術の考え方です。

 
エネルギーの流れを作る。
具体的には、どの様なものでしょうか?
それは、「気」、「血(けつ)」、「水(すい)」の流れです。

 
一般的に当てはめれば、血液循環、水分代謝、

そしてそれ等を統合して運行する力やシステム。

(ホルモンや自律神経などもその範疇に入るかもしれません。)
では、これらの「流れ」と「歪み」との関係は?

 
またまた、次回に。

肝血不足と肝気鬱結

木の芽時の体調の変化は、男女の関係無く起き得るものですが、

特に女性の場合は、季節の移り変わり、身体の衣替え、生理、

生活環境の変化などが同時期に起こると、

肝に蓄えられている血液が急激に不足した

「肝血不足」の状態を引き起こしやすくなります。

 

 

これに日頃からの精神的ストレス

「肝気鬱結」状態が重なると様々な不快症状を発症します。

 
・怒りっぽい、イライラしやすい
・めまい、耳鳴り、頭痛、肩こり
・生理不順、生理痛、更年期障害
・胃痛、不快感、食欲不振、便通の異常
・寝つきが悪い、目がさめる、寝た気がしない
・抑うつ感、やる気がでない、全身の疲労
・手足のしびれ、筋肉のひきつり
・目の疲れ、充血、乾き目
・抜け毛 など

 

 

単純に肉体疲労から来る場合などは、

栄養補給、クエン酸、アミノ酸の補給、

あるいはマッサージ等で筋肉を緩める…。などが良いと思います。

 
これに強いストレスが重なった場合は、

自律神経のバランスを正常化する為に漢方治療によって
五臓のバランスを調節したり、
養生する事→睡眠や休憩、入浴や気分転換などリフレッシュする。

または、運動などカラダを動かしてみる。

なども取り入れてみると良いと思います。

 
それでも中々、改善の兆しが現れない様な場合は、

専門家のカウンセリング等が必要なケースもあります。

ご参考までに。

肝木の春

<どしゃ降りの天岩戸神社>

 

漢方の考え方では、春は、五臓(肝心脾肺腎)の中の

「肝」の季節だと考えられています。
また、身体の衣替えが始まるこの時期の事を「肝木の春」とも呼びます。

 
ご存知の通り、肝臓は血液を貯蔵する働きが有るのですが、

漢方的にはそれだけで無く、

自律神経のバランスを調える働きも担っている臓器とされています。

 
「肝は疏泄(そせつ)を司る」と言い、胃腸を始めとした五臓全体の維持や、

感情調整、血液保存などの大切な役割を担っています。
その為、身体の衣替えや生理などで多くの血液が必要とされる時には、

肝に溜めてあった血液が使われるのですが、

普段から貧血気味の方や、冬の間に病気や過労、

ストレスなどで十分に血液を蓄えられなかった場合、
肝気が弱くなり、さまざまな症状が現れます。
この状態を「肝血不足」と言います。

 
また、精神的なストレスが続き体調維持や感情調節のコントロールが

出来にくくなった状態を「肝気鬱結」と呼び、

肝の疏泄機能が滞っている、と捉えます。

 
ちょっと長くなりましたが、次回「肝血不足」と「肝気鬱結」のお話をします。

医療費控除

二月の中頃から、三月の中旬過ぎ迄のこの時期は、

毎年花粉が到来する(近年は、黄砂やPM2.5も)

何とも困った季節ですが、

また確定申告の時期でもあります。

 
どちらも頭を悩ましている方が多いと思いますが、

医療費控除の方はもうお済みでしょうか?
毎年、どこまでが認められるのか悩まれている事と思います。

 
風邪の治療の為に薬店で買った市販の風邪薬はOKで、

お医者さんで打って貰ったインフルエンザの予防接種は認められ無い
と言われると、何が何だか分からなく成ります。

 
簡単に説明すれば、実際に病気や怪我をして、

それを治す為に掛かった費用は、OKです。
実際には、罹患していないけれど、

罹らない様に予防したり、
対策を講じたものは、認められませんよ。
という訳です。

 
花粉症などの鼻炎の為のお薬はOKですが、

予防の為のマスク代や
花粉が服に着きにくくするスプレーとか、

部屋の空気清浄器なんかは、駄目でしょうね。
目をカバーする眼鏡なんかもそうでしょうし、

ぜんそくを改善させる為に、体力をつけようと思ってプールに通ってます。
なんていう費用は、認められ無いでしょう。

 
医療費として認められないと言うことは、

つまり予防法は医療の範疇に含まれていない。
と言うことを表しいると言えます。

 

 
一方、東洋医学では、「未病」と言う考え方があり、

症状が現れる前に治療する。
病気に罹りにくい体質に改善して行く。
と言うことが、実際に症状が現れてから治療することよりも重要である。
と考えられています。

 

 

未病の考え方や、実際の体質改善法については、

また日を改めて少しづつお話していきたいと思います。

先天の精、後天の精

腸の働きは、食べた物を消化、

吸収して便を作るだけでは、ありません。
排便の支配は脳から受けますが、

それ以外の動きは腸が独自に行なっています。
また、さまざまなホルモンが分泌され、

第二の脳と呼ばれるくらい多様な働きを持ちます。
食べた物を消化、吸収して栄養分を全身に供給する腸は、

いわば「健康の源」と言えます。
身体に良いものを摂れば、健康に。
反対に身体に有害なものを吸収してしまったら…。
腸は、「病気の源」となってしまいます。

 

 

東洋医学では、その人の親から受け継いだ、

いわゆる持って生まれた元気の素を「先天の精」と言い、

「腎」(腎臓そのものでは有りません。)に宿る、とされています。
それに対して、生まれてから獲得する元気の素を

「後天の精」と言い、食べ物から補う。
とされています。
つまり、生まれた時には、虚弱であっても、
良い食事を続けていれば、健康になる。
逆に、生まれつき頑健な身体であっても、

悪い食事を続けていれば、病気になってしまう。
と言う訳です。
それほどに、食事は大切だと言う事を表しています。
では、何を食べれば(何が腸に)
良いのでしょうか?

 

それは、また次回に。

漢方薬と和漢薬

日本の気候は、
大陸ほど極端な気温の変化が少なくて、

(最近はちょっと変ですが)

四季の移り変わりがある為にゆるやかに穏やかに流れて行きます。

 

その為に、日本人はあまり強い刺激を好まず、

比較的、繊細な感覚の方が多い様に見えます。

それに合わせて鍼もより細くてしなやかになって行き、

鍼先は松葉形と呼ばれる進入し易く、

また痛みを感じにくい形のものへと、
進化して行きました。

 

また、飲み薬も、国内に生育している植物由来のものがほとんどで

(中国では、鉱物や動物由来のものも多いです。)

身体に優しく、効き目も比較的穏やかになっています。

 

中国の漢方薬に対して、日本のそれは、

日本式の漢方薬=「和漢薬」と呼ばれる事もあります。

 

*三回に分けて、日中韓それぞれの違いを書いてきましたが、
ある一面をかい摘んで記したもので、決して全てを表したものでは有りません。

参考程度にお読み頂ければ幸いです。

儒教の教え

気候、風土や生活習慣、

食べ物といったものが変われば
そこに住む人々の体質にも影響を及ぼします。
それに合わせて、治療方法も少しづつ変化して行きます。

 

同じ中国の国内でも寒い地方と暖かい地方では、

当然違います。
昨日のブログの内容は、

王先生の勤務されていた上海の病院では…。
という事になります。

 

韓国の場合、一番の特徴は、
肘から先、膝から先、

或いは顔や耳といった服を脱ぐこと無く
既に露出している部分のツボで

全身の調整を行なう事が多い
という事です。
ご存じの通り、ツボというのは
全身にくまなく分布している訳ですが。
寒さの影響もあると思いますが、

何と言っても儒教の教えによるところが
一番大きいと思われます。

 

特に女性の場合などは、

治療であっても人前で肌をさらす事に
抵抗を感じる方が多い様です。
それに伴って、

発展して行った治療方法と言えるかもしれません。

 

韓国における儒教の影響は、

我々の想像以上に強く残っていて、

治療現場でも日本の場合より、

より伝統的、東洋的な感覚が強く、

初めて治療を受けた時などは

少し戸惑いを感じる事が有るかもしれません。