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体幹を意識する

骨で重さを支える。と前回のブログで書きましたが、

その骨を「骨格」というカタチに築き上げているのが、

いわゆる「骨格筋」と呼ばれている筋肉です。

 


骨格筋は、腹筋や大胸筋など外から見て解る「表層筋」と

身体の内側、骨に近い部分に在る「深層筋」に分けられます。

 


この内、姿勢を保つ上で特に重要なのが、

深層にある筋肉(いわゆるインナーマッスル)です。
その中でも、腸腰筋(腸骨筋、大腰筋、小腰筋の3つから成り立つ)、

特に大腰筋が重要な役割を担っています。
最近、スポーツ関連やリハビリの分野などでも取り上げられる事も多く、

雑誌やTVで目や耳にされた方もいらっしゃると思います。
大腰筋の鍛え方や、ストレッチ法などは、

いろいろなところで紹介されていると思いますので、

そちらを参考にして頂くとして、ここではその「考え方」を記していきたいと思います。

 
腸骨筋というのは、唯一上半身と下半身を繋ぎ、

尚且つ骨盤を支える筋肉です。
その為、姿勢を保持する上で非常に重要な筋肉です。

 

 

しかし、深層で且つ内臓のそのまた下に有る為に、

見えませんし、触ることも出来ません。
力こぶや、胸の筋肉のように見て触って、鍛え具合を「体感」する訳にはいきません。
そこで重要なことが、「意識する事」です。「無意識を意識に上げる。」のです。

 

 

その具体的な方法が「意識して歩く」「意識して足を上げる」です。

腸腰筋は、腰椎(腰骨)から始まって、

骨盤の内側と大腿骨(太もも)の内側まで伸びている筋肉です。
ですから、腸腰筋を意識するとは、自分の足を股関節(脚の付け根)から…。

では無くて、骨盤から下が全部自分の足。

もっと言えば、「みぞおち」から下が全て足なんです…。

という意識で歩く。という事です。
あたかも、モデルになったかの如くその美脚をダイナミックに動かして見て下さい。

 
そして、立位では「踵骨(かかと)」に重心が掛っていることに意識を。
また、坐位では、「坐骨」に意識を。
どちらも、読んで文字の如く。
足の重心だから、「踵」。
座る時に支える骨だから、「坐骨」。

 
これらを意識する。「無意識を意識に上げる。」だけで、

腸腰筋が働き、骨盤の傾き(前後傾)がニュートラルな状態に近づき、

ひいては「解剖学的肢位」が取り易くなってきます。

 
先ず、体幹を意識して下さい。
そして、その違いを「体感」して下さい。

骨で支える

「良い姿勢」とは、‘立派な姿勢’では無くて、楽な姿勢の事です。

楽な姿勢=身体への負担が少ない姿勢とも言えます。

 
よく、「良い姿勢をしてたら疲れるわ。」

なんて話を聞く事が有りますが、これは間違いです。

解剖学的肢位では無く、教育学的肢位を取っているからに他ありません。

 
人間の身体の運動器官を大雑把に分けると
骨と筋肉から出来ています。
(他にも色々ありますよ。)
骨の最大の役割は「支持機能」です。

つまり、重さを受け止めて身体を支える事です。

 
それに対して、筋肉は自ら収縮弛緩することで、

関節を動かし運動を生み出しています。

 
重さを骨で支えて、動きは筋肉が作る。

一見当たり前のようですが、私たちは日常、

これらの事を忘れて筋肉で重さを支えて、

筋肉や関節に多くの負担をかけています。

 
骨は硬く、頑丈で骨自体は疲労を感じません。

しかし筋肉は柔らかく、過剰に負担を掛けると筋疲労や、痛みが発生します。
人間、骨の形はほぼ皆、同じはずです。

その骨の形状が上手くかみ合い、

無駄無く上手に身体を支えらる姿勢の事を「解剖学的肢位」と呼んでいる訳です。

 
※解剖学的肢位については、「西村久代氏」の著書をご参照下さい。

 
解剖学的肢位からズレると、先ず重心が外側にかかり、

足関節がずれ(腓骨が開き、下がる)、膝蓋骨が外向きになり、

股関節が外旋し、お尻の外側の筋肉が緊張します。

それに伴って仙骨が傾き、仙腸関節に支障をきたします。
簡単に言えば、身体の歪みが生じてしまう。のです。

 
では、「良い姿勢」を如何やって意識すれば良いのでしょうか。
次回お伝えします。

「歪み」を正す。

 

「歪み」という文字を分解してみると、

不正=正しく無い。と読めます。
「身体の歪み」とは、姿勢が悪い状態の事を表しています。

 
では、歪みの無い正しい姿勢とは?
それを「解剖学的肢位」と呼びます。
※解剖学的肢位についてや、その定義などは、

非常に大切な考え方である為、

また改めて今後何度もお話をする機会が有ると思います。

今回はザックリと説明させて頂きます。

 
私たちは、正しい姿勢と言えば足の親指に体重がかかり、

胸を張った態勢を思い描きがちですが果たしてそれは如何なのでしょうか?

 
この姿勢は、「解剖学的肢位」に対して言わば

「教育学的肢位」と読んで良いと思います。
学校で「気を付け。前に倣え。」

という号令のもと、姿勢を正す。あれです。

 
これは明治時代、新政府の富国強兵の施策や、

戦時下の軍事教練に基ずく「軍事教育学的肢位」が

未だに「信奉」されている…。ものです。

 
前に、前にと前のめりになった態勢の、

バランスを取る為に無理矢理に胸を反らした状態。
これが、私たちが「良い姿勢」だとずっと教えられてきた「イメージ」です。

 
肩で風を切る去勢を張った姿勢。かなり誇張されていますが、

これなども正しい姿勢≒正義≒強さの象徴として捉えられている一つの表れ。

と言えるかもしれません。

 

この「良い姿勢」を持続する為には、常に緊張を強いられます。

前方に有る重心を筋力が引っ張り続ける必要が生じてしまうのです。
この無理なストレスが身体の歪みに繋がっているのです。

 
また次回へ続く。

重心は、中心では無い。

「軸を整える」
この言葉には、いろいろな意味合いがあります。

 
身体の軸を整える
・中心軸を整える
・重心の軸を整える
心の軸を整える、エネルギーの軸を整える…。etc

 
身体の重心の軸は、必ずしも「中心」に存在するわけでは、有りません。
イメージ的には、「軸」と言うものは、コマ回しの「独楽」のように真ん中に在る.

と考えがちですが、そうとは限りません。

 

 

「独楽」のようにカタチが円形であったり、正三角形であったりすると、

釣り合う「軸」は、きっちり中心になるわけですが、

私たちの身体はそうでは有りません。

前後左右対称?という人は存在しません。
ですから、重心は、中心では無い。のです。

この点は、多くの方が勘違いされています。

 

 

では実際、身体の重心はどの辺りに在るのでしょうか。
それは、身体を前後に三等分した「後ろ3分の1」です。
背骨から仙骨〜膝の内側を通り

内踝(うちくるぶし)から踵骨(かかと)に抜けるラインとなります。
これが、正しい。と言うか、

1番身体に負担の掛からない、楽な姿勢。と言えます。

 
重力を筋力では無くて、「骨」で支える。
これが、「重力を味方につける」という事の意味です。

 
実際に、正しい重心の軸を意識して立ってみて下さい。
ほとんどの方が、考えていたよりも

かなり「後ろ」に体重がかかる感じすると思います。
中には、後ろに倒れそうになる方もいらっしゃるかと思います。
実は、それだけ前に重心が乗った状態で生活している。

という事の裏返しでも有るわけですが…。

 
重心が「前」に掛っている事の弊害と、

軸を正しい位置に意識する具体的な方法は、

次回お伝えします。