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8/28日、理研の利根川進博士らの研究チームが
遺伝子操作したマウスを使い、
「嫌な記憶」を「楽しい記憶」へと、
情報を書き換える実験に成功した。
という報道がありました。
人間やマウスの脳では、
「海馬」と呼ばれる部分が「出来事」を記憶し、
それが快か不快だったかは、
「扁とう体」に記憶されると考えられています。
利根川博士らの研究では、
雄のマウスを小部屋に入れて、電気ショックを与え、
海馬の特定の神経細胞群を活性化させて
「小部屋の中は怖い。」と記憶させます。
そして再度、この細胞群を「光」で活性化させると、
小部屋の外でも、思い出して恐怖で身をすくめる反応を示しました。
ところが、同じ神経細胞群に光を照射しながら
雌のマウスと一緒に過ごさせると、
今度は「楽しい経験」として記憶され、
小部屋に入れても恐怖反応を示さなくなったというのです。
「記憶を書き換える」と言っても
過去の出来事そのものが変えられるわけではありません。
その出来事に対する「反応」に変化が生ずる…という事です。
例えば、怒られてばかりで「辞めてやる。」と思っていたクラブ活動も、
いざ卒業となると全てが良い思い出に。
失恋のショックで泣き明かした日々も、
幸せな結婚生活を送っている今では、
意識にすら上がることがありません。
また、無愛想で変わり者のオジさんの態度が、
大学教授だと知ったとたんに、
何だか威厳に満ち溢れたものに見えて来ました。
どれも、海馬から扁桃体へ繋がる神経細胞群に「光」刺激を与える。
つまり、情報の書き換えが行われているわけです。
今回の研究結果はうつ病などの心理療法に、
将来応用出来るだろう。との事でしたが、
それだけで無く「痛み」や「機能障害」などなど、
様々な疾患にも有用であると考えられます。
また、情報の書き換えは治療行為にとどまらず、
「潜在意識」と呼ばれる領域にも…。
そのお話は、次回に。