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祇園さん、天神さんと聞いて関西の人が
直ぐに連想するのが、「鱧(はも)料理」です。
暑気払いに食す、関西の夏の風物詩と言えます。
はも落とし、はもしゃぶ天ぷらなども有りますが、
何と言っても湯引きにして、「梅肉和え」にするのが、
最もポピュラーな食べ方です。
関西では、お馴染みの「はも料理」ですが、
関東ではあまり見かけません。
何か料亭みたいな所でしか食べることが出来ない
「高級魚」のイメージで捉えられている感じです。
関東で広まらなかった理由としては、
伝統的な「骨切り」という「技術」が江戸前の板前さんに
伝承されなかった、確立されなかった為に、
はもを食するという「文化」が根付かなかったから…。だと言われています。
では逆に、関西(特に大阪と京都)では何故、
「はも文化」がずっと続いているのでしょうか?
それには、気候が関連している様に思われます。
暑さの質、関西特有の「蒸し暑さ」です。
全国的には、夏を乗り切る為の食品としては
「鰻の蒲焼き」が最もポピュラーです。
それは、関西でも同じです。
たしかに夏バテの際に精をつけるには、
あの脂の乗った、こってりと味の濃い蒲焼きの香りは、
何とも食欲をそそります。
しかし、どうし様も無くじっとりとした蒸し暑さの時は、
逆にあの香りが鼻につき、もたれてちょっと遠慮したくなったりもします。
それならば…、湯引きして脂を落とし、
梅肉で和えた「はも」をすっきり、さっぱりと戴くのが関西風と言えます。
鰻の蒲焼きが、精をつける為のものならば、
はもの梅肉和えは「湿熱」で弱りがちな「脾胃」に優しい食べ物です。
あと、豆腐や湯葉なんかの大豆食品も、そうです。
あぁ、それに素麺(三輪、揖保の糸)と
キリッとした辛口の冷酒(灘、伏見)が揃えば、
夏の暑さもなんのその…かな?